監修:杉山奈津子
何事にもシンプルを求める昨今、「ワセリン美容」というのが流行っているようです。
先日のライブでも、視聴者さんからこんなご質問をいただきました。
保湿のためにワセリンを使うのは大丈夫ですか?
油なので良くないですか?
使ったことのないものについて無責任に良い悪いを答えることはできませんが、ワセリンを使うことで得られる効果やメリットデメリットを、理論的に考えてみたいと思います。
肌に悪いものが入っていない
というメリット
ワセリンというのは、石油から作られた保湿剤です。
石油は天然成分なので化学的なものが入っておらず、「悪いものが入っていない」というのが、ワセリンが注目されている理由ではないでしょうか。
ワセリン=保湿のためのもの、ですが、ワセリン自体に保湿効果があるわけではありません。
ワセリンの保湿というのは塗ることで油膜を作り、お肌の水分を逃がさなくなる「ラップ効果」によるものです。肌の水分をキープできるというのもメリットですね。
肌の調子が悪い、肌荒れしているというとき、その理由が日々使っているスキンケア化粧品の成分にあるのであれば、ワセリンは肌に悪い成分が入っていませんので、ワセリンの方がマシ、だと言えます。
肌断食と同じ考え方で、「肌に悪い(成分の)ものを使わない」という目的で使うには適しているかと思います。
天然成分だから何をつかっても安心というわけではなく、ワセリンといってもいくつか種類があり、特に純度の最も低いのが「黄色ワセリン」、そこから純度を高めたのが「白色ワセリン」、さらに高めると「プロペト」、その上に「サンホワイト」という4種類があります。
値段的には黄色ワセリンが一番お手頃ですが、純度が低いと刺激になりやすいということもありますので、選ぶ際は注意してくださいね。
油の性質によるデメリットも
使用する上で気を付けたいことがいくつかあります。
まず、ワセリンは油です。
油は必ず酸化します。朝ワセリンを塗って外出すると、紫外線でワセリンが酸化して油焼けを起こし、くすみや色素沈着になる可能性があり危険ですので、塗るなら夜が良いです。
そして、化粧品が原因の肌トラブルや乾燥しやすい方には効果があるかもしれませんが、肌が脂っぽい、脂性肌の方にはかえって肌状態を悪化させる場合があります。
ラップ効果で毛穴をふさいでしまうと、角質が厚くなり皮脂が詰まりやすくなりますので、ご自身の肌質に合わせて、試してみてくださいね。
ワセリンは良くも悪くも「肌に油膜を張るだけ」の製品です。
美容成分は入っていませんので、塗ることでシミがなくなったり美白されたり…という効果はありませんが、純度の高いものであれば低刺激で悪いものも入っていないため、肌トラブルを引き起こす可能性も低いです。(お肌質にもよりますが)
ですので、ワセリンを使っちゃダメ、という理由ないかなと思います。
今のスキンケア製品が合っていない、肌断食したいけど乾燥が気になるという場合は使用してみるのもいいかもしれませんね。