植物の持つ
隠れた健康成分
人間が生きるのに欠かせない栄養素、脂質・糖質・タンパク質のことを「3大栄養素」と呼びます。
これにビタミン・ミネラルを加えて「5大栄養素」と呼ぶところまでは有名な話ですね。
しかし、それにさらに2つを加えた「7大栄養素」があるのをご存じでしょうか?
ここで加わるもの、1つは「食物繊維」。
では7番目はというと、「フィトケミカル」という栄養素です。
ちょっと聞きなれない言葉ですね。
フィトケミカルのフィト=「植物」、ケミカル=「化学物質」という意味。
野菜や果物、穀物、海藻といった植物性食品が、外敵や紫外線などから身を守るために作り出した色・香り・アク・苦味などから発見された成分のことです。
その数は1万種類以上にのぼると言われ、必須の栄養素ではありませんが、私たちの健やかな生活をサポートする抗酸化作用・免疫力向上・代謝促進といった役割をしてくれます。
食材それぞれが持つ色や香り、苦味や辛味など様々な要素によってたくさんのフィトケミカルがありますが、今回は代表的なフィトケミカル3種類と、「色」別の見分け方をお伝えしていきます。
代表的なフィトケミカル
①ポリフェノール
ポリフェノールはほとんどの植物が持つ苦みや色素の成分で、5000以上の種類があります。
大豆に含まれるイソフラボン、ブルーベリーに含まれるアントシアニン、緑茶に含まれるカテキンなど。これらは全てポリフェノールの一種です。
それぞれに異なる役割がありますが、ポリフェノールとして全てに共通しているのは強い抗酸化力。
体内の活性酸素を無害な物質に変える力を持ち、アンチエイジングや生活習慣病の予防に効果的な成分です。
➁カロチノイド
トマトの赤、ニンジンのオレンジ、これらの綺麗な色を作っているのがカロチノイドという色素です。
600種類ほどあり、そのうち数十種類は、体内でビタミンAに変換される「プロビタミンA」で、目に良かったり、皮膚や粘膜の細胞を保護してくれるといった効果があります。
しかしそれだけでなく、カロチノイド全般に抗酸化・抗がん作用があるということが近年わかってきました。
③硫黄化合物
ダイコンやタマネギ、ワサビなどの苦みや辛味、香り成分には硫黄が含まれています。ポリフェノールやカロチノイドと同様、抗酸化作用もありますが、肝臓・消化器の解毒作用、抗菌作用、血行促進といった効果があります。
色別!フィトケミカルの覚え方
植物食品の色味を見ることで、それらが持つ色素のフィトケミカルを考えることができます。
赤・オレンジ・黄色・緑・紫・黒・白の7色に分けて、それぞれのフィトケミカルを見ていきましょう!
①赤
・「リコピン」…トマト・スイカ・パパイヤ・マンゴーなど
――抗酸化作用
・「カプサンチン」…トウガラシ・赤パプリカなど
――新陳代謝促進、抗菌、抗酸化作用
➁オレンジ
・「βカロテン」…ニンジン・カボチャ・ミカン・ビワなど
――体内でビタミンAに変換される。生活習慣予防、抗酸化作用
③黄
・「ルテイン」…トウモロコシ、ホウレンソウ、ケールなど
――紫外線やブルーライトから目を保護する、視力低下予防
・「フラボノイド」…タマネギ、かんきつ類など
――ポリフェノールの一種。抗酸化、ストレス抑制、血行促進
④緑
・「クロロフィル」…ホウレンソウ、ブロッコリー、小松菜など
――抗酸化、コレステロール値の低下
⑤紫
・「アントシアニン」…ベリー類、ブドウ、ナス、シソなど
――ポリフェノールの一種。抗酸化、視力低下予防
⑥黒
・「カテキン」…緑茶、柿など
――ポリフェノールの一種。抗酸化、殺菌、虫歯予防、コレステロールの低下
・「クロロゲン酸」…ゴボウ、ジャガイモ、ヤーコンなど(コーヒーにも)
――ポリフェノールの一種。抗酸化、血糖値上昇抑制
⑦白
・「イソチオシネアート」…ダイコン、キャベツ、白菜、ワサビなど
――抗がん作用
・「硫化アリル」…ネギ、ニンニク、ニラなど
――疲労回復、殺菌・抗菌、抗酸化
色素によって効果が異なるから、例えば同じパプリカであっても、黄パプリカは目に良くて、赤パプリカは抗酸化作用がある、とか。
考えながら取り入れてみると、野菜を食べるときの楽しみが増えそうです。
7色の野菜で
カラフル&健康な食卓!
植物食品の持つフィトケミカル。
今回は色素別のフィトケミカルを見てみました。
天然の恩恵をバランスよく受けるためにも、食卓にあともう1色、彩りを加えるよう意識してみてはいかがでしょうか。
今回あげたフィトケミカルとその効果は、ごく一部です。
この苦味にはどんなフィトケミカルが?
この独特の香りには?
と、調べてみると、面白い発見やつながりがありそうですね。